アントニー・ゴームリー 密着 Ⅲ 1993年
大地に腹ばいになり、手足を大きくひろげる人物。この人物になって、地面に手足を広げた気持ちになってみましょう。自分の身体の重みや、ゆったりとした地球の動き、天体と心が通じあうような感覚や、宇宙にさらされている恐怖、様々な感覚が生まれてきませんか。作者のアントニー・ゴームリーは、1980年代はじめから、自らの肉体を彫刻に移し変え、空間の中に置く作品を手がけるようになりました。この像も、作家自身の身体から型をとり、地下のマグマと同じ1500度にとかした鉄1トンで鋳造されています。ゴームリーは、人間の肉体は、地球の一部であり、自然の一単位であるといいます。目鼻立ちや、個性をはぎとられ普遍的な存在となった人物は、人間と宇宙が通じ合っていることを、見る人に教えてくれます。