カール・ミレス 人とペガサス 1949年
はるか天空を駆けぬけてゆくのは、天馬ペガサスと、コリントスの英雄ベレロフォンです。怪物キマイラ退治への道を急ぐベレロフォンは、思い切りからだを伸ばし、さらに高く飛ぼうとしているかのようです。曲芸のような姿勢をとるふたつの彫刻は、厳密な力学的計算のもと、高く伸びた台座の上に絶妙なバランスで取り付けられています。まるで重さを感じさせない軽やかな姿は、重いブロンズで出来ているとは思えません。ギリシャ神話をテーマにしたこの作品は、スウェーデン出身の彫刻家カール・ミレスによるものです。世紀末のパリで、一時ロダンの助手を務めていたミレスは、その後、豊かな想像力を駆使し、自由奔放な動きをはらむ独自の作風を確立しました。彫刻の森美術館には、他にも神の手の上で男性が天空を仰ぎ見る《神の手》や、イルカに乗った人物を表す噴水彫刻《太陽の輝き》などのミレスの作品が展示されています。