ニキ・ド・サン・ファール ミス・ブラック・パワー 1968年
カラフルなドレスを身に着け、青い水玉のバッグをもった黒人の女性が、大地を踏みしめ、堂々と立っています。太っちょの体からは、命を育む女性であることの自信と喜びが満ち溢れているようです。作者のニキ・ド・サンファールは、結婚、出産の後、うつ病に苦しみ、その克服のために作品の制作をはじめ、女性の役割と自分の人生を見つめ直していきました。この作品は、妊娠した友人の姿をみて思いついたといわれる、巨大な女性像のシリーズ「ナナ」のひとつです。古い価値観のなかで、抑圧され差別を受けてきた女性や黒人は、自由と喜びに満ちた女神として生まれ変わり、高らかに女性を賛美しているのです。