IIKAWA TAKEHIRO
DECORATOR CRAB
飯川雄大
デコレータークラブ
“Occurring simultaneously or awareness being delayed”
同時に起きる、もしくは遅れて気づく

お知らせ

彫刻の森美術館では、現代の新しい創作表現を紹介するシリーズの第8回として、「飯川雄大 デコレータークラブ 同時に起きる、もしくは遅れて気づく」を開催します。本シリーズは、コロナ禍を経て、4年ぶりの開催となります。

兵庫県神戸市出身の飯川は、人の認識の不確かさや、日常のなかで見過ごされてしまう事象に着目し、鑑賞者の気づきや能動的な反応を促すようなインスタレーション作品を発表しています。全国各地の美術館やアートフェスティバルで作品を発表する、近年活躍が目覚ましいアーティストの1人です。

本展では、2007年から飯川が展開している〈デコレータークラブ〉シリーズの新作インスタレーションを中心に展示します。鑑賞者が能動的に関わることで変容していく空間や物質を、身体的・感覚的に捉えさせるインスタレーション作品《デコレータークラブ ─ 0人もしくは1人以上の観客に向けて》、誰かの忘れ物かのような《デコレータークラブ ─ベリーヘビーバッグ─》のほか、迫力ある大きさにも関わらず、一目では全貌をとらえることができない彫刻作品《デコレータークラブ ─ピンクの猫の小林さん─》が木々の中に潜みます。また、過去に発表した映像作品も展示し、作品に通底する飯川の着眼点にも迫ります。

飯川の作品は、幅広い来館者層へもアプローチする、可愛らしく接しやすい表層を持ちつつも、人間のコミュニケーションの 不完全さや、時には遅効する気づきそのものへの興味に焦点を当てています。鑑賞者の行為によって起きる偶然をポジティブにとらえ、時間や距離が離れた場所にも出来事を送り届けることを試みます。〈デコレータークラブ〉は、見るものに行動と思考を誘発しながら展開していきます。

本展の会期は、約8ヶ月です。季節の移ろいとともに、作品の表情も変化していくでしょう。当館の野外美術館の地形や特性を生かして展開していく、飯川の作品を経て、当館の新しい魅力も発見していただけたら幸いです。

展覧会名
デコレータークラブ
同時に起きる、もしくは遅れて気づく
DECORATOR CRAB
“Occurring simultaneously or awareness being delayed”
アーティスト
飯川雄大 Iikawa Takehiro
会期
2022年7月30日(土) 〜 2023年4月2日(日)
会場
彫刻の森美術館 緑陰広場・アートホール
主催
彫刻の森美術館(公益財団法人 彫刻の森芸術文化財団)
協力
アーティファクト
エアー遊具カンパニー (株式会社アールイーナンバー)
株式会社ティーハウス建築設計事務所
tmsd萬田隆構造設計事務所
有限会社キューアンドエー
ゆうこうマリン株式会社

展示作品・見どころ

本展は飯川雄大の代表的なシリーズ〈デコレータークラブ〉から、最新作の大型インスタレーション 2 点を美術館の屋外・屋内エリアに展示します。彫刻の森美術館の中に新しい魅力的な景色を生み出します。

緑陰広場

《デコレータークラブ ─ピンクの猫の小林さん─》

ヘンリー・ムーアやアントニー・ゴームリー、ニキ・ド・サン・ファールといった近・現代を代表する彫刻家の作品が展示され、館内でも人気スポットである緑陰広場。この緑深い森林エリアに、飯川のトレードマークである《ピンクの猫の小林さん》が潜みます。
シリーズ過去最大級の約15メートルという迫力あるスケールで、思わず誰かにシェアしたくなる愛らしい姿の小林さん。その巨大な全貌は、果たして人間の目やカメラの画角でとらえ切ることができるのでしょうか。

※展示時間 10:00 – 16:00
※状況により、展示期間・鑑賞時間が変更になる場合があります。
最新情報は、ホームページおよび SNS などでお知らせします。

アートホール

《デコレータークラブ ─ 0人もしくは1人以上の観客に向けて》

2021年に千葉市美術館で発表した同シリーズを、彫刻の森美術館バージョンとして新たに制作します。屋内展示場であるアートホールを起点に、当館の様々な場所を繋いで展開するインスタレーションです。本作の特徴は、鑑賞者の “ある行為” によって誘引される出来事が、いつ・どこで起こり、また誰が目撃するのか、予測が出来ないこと。作品が作用する範囲は、美術館の中だけではないのかも?

イベント

アーティスト・トーク

7月30日(土)、7月31日(日)

時間13:00〜約40分
参加費無料(別途、入館料が必要となります)
定員30名
内容 飯川雄大氏と展覧会担当者によるギャラリートーク
参加をご希望される方は、当日アートホールにお越しください。

ワークショップ

10月8日(土)、10月9日(日)

アーティストメッセージ

〈デコレータークラブ〉シリーズは2007年から始まりました。飾りつけをするクラブ活動みたいですが、世界中の海に生息し擬態する性質を持った蟹の名前(Decorator Crab)に由来しています。昔、この蟹を紹介するドキュメンタリー番組を見た時、ダイバーが海の中で何だかわからないモノ(実は蟹)を見つけたときの驚きが全く伝わってこなくて。たくさんの言葉や映像を使っても、どうしても伝えることができない部分があるということが面白かったんです。蟹は天敵から身を守るため、誰にも見つからないように行動しているだけ。でも、人は勝手に特別な状況だと感じたり、別の価値をつけたり、一方通行のコミュニケーションから新しい要素を生み出している。

この展覧会には、鑑賞者が展示空間で試行錯誤して起こした行為が、別の場所で新たな事象として現れる作品があります。けれどそれを同時に把握することはできなくて、両方を確認するためには、物理的距離が生む時間の差や遅れ、そして鑑賞者が作品を認識する、気がつくまでの距離が生まれます。鑑賞者がふたつの距離を捉えて、その情報を得た時にようやく作品が始まる。彫刻の森美術館は広いから、会場では見ることはできずに、インターネット上にある記事や口コミ、展覧会のカタログで見たり、もしくは全く気づかないかもしれない。そのタイミングはすぐかもしれないし、1日、数年後かもしれない。極端に言うと、次の展覧会もそのタイミングを作れたり、補完できたりするといいなと思います。デコレータークラブはいろんな場所で作れるんです。

飯川雄大

飯川雄大 略歴

飯川雄大 Iikawa Takehiro

1981年兵庫県生まれ。同地を拠点に活動。成安造形大学芸術学部情報デザイン学科ビデオクラスを卒業。個展に「デコレータークラブ メイクスペース、ユーズスペース」(兵庫県立美術館、2022年)、「つくりかけラボ 04 飯川雄大 デコレータークラブ – 0人もしくは1人以上の観客に向けて」(千葉市美術館、2021年)。主なグループ展に「感覚の領域 今、『経験する』ということ」(国立国際美術館、2022年)、ヨコハマトリエンナーレ 2020「AFTERGLOW ─光の破片をつかまえる」(PLOT 48、2020年)、「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館、2019年)など多数。

https://takehiroiikawa.tumblr.com/

飯川雄大《デコレータークラブ ―0人もしくは 1人以上の観客に向けて》2022年
展示風景:「感覚の領域 今、『経験する』ということ」国立国際美術館 撮影:飯川雄大
飯川雄大《デコレータークラブ 配置・調整・周遊》2022年
展示風景:「感覚の領域 今、『経験する』ということ」国立国際美術館 撮影:麥生田兵吾
飯川雄大《デコレータークラブ ―新しい観客》2022年
示風景:兵庫県立美術館 撮影:飯川雄大
飯川雄大《デコレータークラブ メイクスペース、ユーズスペース》2022年
展示風景:兵庫県立美術館 撮影:飯川雄大
飯川雄大《デコレータークラブ ─ 0人 もしくは 1人以上の観客に向けて》2021年
展示風景:千葉市美術館 撮影:飯川雄大
飯川雄大《デコレータークラブ 配置・調整・周遊》2020年
展示風景:ヨコハマトリエンナーレ 2020「AFTERGLOW―光の破片をつかまえる」 撮影:飯川雄大
飯川雄大《デコレータークラブ ―ピンクの猫の小林さん―》2020年
展示風景:横浜市金沢区並木団地、並木クリニック中庭 撮影 : 阪中隆文
飯川雄大《デコレータークラブ ―ピンクの猫の小林さん―》2019年
展示風景:「六本木クロッシング 2019 展:つないでみる」森美術館 撮影 : うつわ

個展

2022年「飯川雄大 デコレータークラブ メイクスペース、ユーズスペース」兵庫県立美術館
2021年「どこかで? ゲンビ ビデオアート編」広島市現代美術館・鶴見分室 101 (広島)
2021年「つくりかけラボ 04 飯川雄大 デコレータークラブ ─ 0人もしくは 1人以上の観客に向けて」千葉市美術館
2021年「ハイライトシーン」ギャラリートラック (京都)
2020年「KAAT アトリウム映像プロジェクト vol.15 飯川雄大」KAAT 神奈川芸術劇場
2020年「デコレータークラブ ─知覚を拒む」高松市美術館 (香川)
2020年「デコレータークラブ ─ピンクの猫の小林さん─」並木クリニック (神奈川)【参考図版 7】
2020年「Decoratorcrab ─Mr. Kobayashi, The Pink CAT─ Park Lane in Taichung City」台中市西區公益路 68 號 (台湾)
2019年 「デコレータークラブ ─遠近の設計図─ 県北芸術村推進事業交流型アートプロジェクト 2019」
高萩市秋山中学校、高萩市高萩中学校、高萩市松岡中学校 (茨城)
2019年「デコレータークラブ ─ 0人もしくは 1人以上の観客に向けて」Art Center Ongoing (東京)
2018年「A-Lab Exhibiton Vol.16 飯川雄大 デコレータークラブ 配置・調整・周遊」あまらぶアートラボ A-Lab (兵庫)
2016年「ひとりはみんなのために」HOTEL ANTEROOM KYOTO GALLERY 9.5 (京都)
2015年「ハイライトシーン」高架下スタジオ Site-A ギャラリー (神奈川)
2013年「たいけんびじゅつかん特別展 遭遇するとき -Happening Upon-」滋賀県立近代美術館ギャラリー

グループ展

2022年「感覚の領域 今、『経験する』ということ」国立国際美術館 (大阪)
2021年「すみだ向島 EXPO2021」京島エリア・元お茶屋 (東京)
2020年ヨコハマトリエンナーレ 2020「AFTERGLOW ─光の破片をつかまえる」PLOT48 (神奈川)
2019年「美術館の七燈」広島市現代美術館 (広島)
2019年「六本木クロッシング 2019展:つないでみる」森美術館 (東京)
2019年「まなざしのスキップ」札幌文化芸術交流センター SCARTS (北海道)
2017年「ゲンビどこでも企画公募 2017」広島市現代美術館
2016年「六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2016」六甲有馬ロープウェー 六甲山頂駅 (兵庫)
2016年「デコレータークラブ ─衝動とその周辺にあるもの─ シオヤプロジェクト」塩屋東市民公園 (兵庫)
2016年「ROLE PLAY」スハラビル 202号室 (大阪)
2014年「私の神さま | あなたの神さま」セイアンアートセンター (滋賀)
2014年「テラトテラアートプロジェクト ─シビックプライド─」三鷹市周辺 (東京)