箱根 彫刻の森美術館

環境芸術事業

六甲ミーツ・アート 芸術散歩2014

公益財団法人彫刻の森芸術文化財団では、2010年より、「六甲ミーツ・アート 芸術散歩」(開催地:兵庫県神戸市六甲山)の企画制作をおこなっています。5年目を迎えた今年は、昨年の土砂災害からケーブルカーも復旧し、六甲の山には、山歩きを楽しむハイカーや多くの外国人の姿が見られました。HP担当のNが、澄んだ空気と森の呼吸に包まれ、2日間のアートトリップを堪能してきました。

脱力感たっぷりのアートで旅は始まった

JR六甲道駅からバスで六甲山へ向かいます。神戸大学の学生で混み合う車内、一年振りのバス通り、
穏やかな日常の風景をゆっくり眺めながらアートトリップが始まった。


Nadegata Instant Party(中崎透+山城大督+野田智子) 《PHOTO SPOT PARTY》

バスは六甲ケーブル下駅に到着。早速、「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2014」の作品に迎えられる。
ケーブルカーエリアをアミューズメント施設に見立てた、Nadegata Instant Party(中崎透+山城大督+野田智子) による作品「PHOTO SPOT PARTY」
ケーブルカー内では、観光案内(?)ビデオが上映されている。乗車客は、Nadegataらしい力の抜けた演出に苦笑しながら、車窓に広がってくる神戸市街を眺めている。

歴史を感じさせる山上駅構内には、集合写真を自動撮影するスポットがある。ケーブルカーで六甲山に上ってきた見ず知らずの人たちと、アトラクションを体験した人々が写真を撮られるように一緒に記念写真に収まっている。

各所には撮影スポットが設けられており、山上駅の屋上の会場では、神戸市から大阪湾までが一望できる。


『Nadegata Instant Party(中崎透+山城大督+野田智子) 《PHOTO SPOT PARTY》

『Nadegata Instant Party(中崎透+山城大督+野田智子) 《PHOTO SPOT PARTY》

『Nadegata Instant Party((中崎透+山城大督+野田智子) 《PHOTO SPOT PARTY》

『Nadegata Instant Party(中崎透+山城大督+野田智子) 《PHOTO SPOT PARTY》

『Nadegata Instant Party((中崎透+山城大督+野田智子) 《PHOTO SPOT PARTY》

六甲山ケーブルカー山上駅の展望台から神戸市街地を見る

アートは、ゆっくりした時間と空間の中で存在していた。〜六甲高山植物園〜

ケーブルカー山上駅から周遊バスで最初のポイント「六甲高山植物園」に向かう。
ここは海抜865mに位置し、北海道南部と同じという恵まれた気候を生かし、
高山植物を中心に六甲山自生の植物などを栽培している植物園。


西山 美なコ《~melting dream~》

会期中、経年変化によってその美しい姿が変容を続ける西山 美なコ《~melting dream~》、森に降る雨や、深い霧を集めるためのオブジェ 菅野 麻依子《雨集の庭》、捨てられた日用品がユーモラスに騒ぎ立てる 福田ちびがっつ翔太《ジャンジャン♪合唱団 / 六甲山で僕らは出会った。》、木と木をマスキングテープで繋ぎ、この場ですごす生き物を描く 淺井 裕介 《しっぽの森》 、杉板で覗くことのできない空間を作り出し人々に想像と存在を与える 土屋公雄 《もうひとつの森》、暗闇に浮かび上がる幻想的な切り絵 谷澤紗和子 《穴六甲六穴》、両顔のアスリート植物 若木くるみ 《葉っぱを求めて三千里》


菅野 麻依子《雨集の庭》

福田ちびがっつ翔太《ジャンジャン♪合唱団 / 六甲山で僕らは出会った。》

淺井 裕介 《しっぽの森》

土屋公雄 《もうひとつの森》

谷澤紗和子 《穴六甲六穴》

若木くるみ 《葉っぱを求めて三千里》

絵本のような作品〜六甲オルゴールミュージアム〜

高山植物園から木道を抜けるとオルゴールミュージアムに。同じ園内を散策している感覚で入っていくことができる。

最初に現れた作品は、今回の公募大賞グランプリ受賞作品竹久 万里子 《たまゆら》
木道を通り抜ける秋目いた風に揺られている。訪れる人々もその小さなベルの音に聞き耳を立てている。

森の中や池の周りには、オルゴールミュージアムの奏でる音楽に調和するようにファンタジックで絵本のような作品が置かれている。


竹久 万里子 《たまゆら》

オルゴールミュージアムの館内には、
12星座をモチーフにした生き物のマスクをかぶった人間たちが浮遊する 大石 麻央《夢より遠い、いまを探す旅》

かつて代表的な土産物であった熊の置物が役目を終え、彫刻になる前の姿を取りもどそうと、
その姿のまま新たな芽を生やしている 角文平《熊の森》

浅羽 昌二《森のむこう》は、森の中に忽然と現れる鏡の壁。
本来の景色を鏡の中の景色が視覚的な仕掛けにはじめ混乱をおこし、風景に向こう側に鑑賞者を誘ってくれる。
浅羽さんとは、偶然にも、六甲ケーブルカー山上駅のNadegataの作品でいっしょに記念撮影をしていた。

三宅 信太郎《山頂の街》は、「ライブペインティング・ライブビルディング」による制作実演を観て直接作家と会話ができるので、作品をより身近に感じることができる。


大石 麻央《夢より遠い、いまを探す旅》

角文平《樹木の通り抜け》

浅羽 昌二《森のむこう》

三宅 信太郎《山頂の街》

國府理 特別展示

木調の室内に野生の空気が入りこんできた〜六甲山ホテル〜

穏やかな静けさと気品あふれる六甲山ホテルには、普段ホテルにかかっている鳥類図の鳥を消しゴムで消し、そのカスで
再びその鳥のかたちに彫刻して部屋に解き放った、入江 早耶《ロッコウチョウダスト》と 、ホテルのシンボル鹿の剥製と開拓された六甲山の森から着想を得て描かれた 鴻池 朋子《Where The Wild Things Are》

外に出ると敷地内には、息を飲む程に吸い込まれそうな深く蒼い池があった。
誰も近づくことを許さないようなテーブルと椅子Hidemi Nishida 《The Meals》が浮かんでいた。


入江 早耶《ロッコウチョウダスト》


入江 早耶《ロッコウチョウダスト》
撮影:高嶋清俊

鴻池 朋子《Where The Wild Things Are》

Hidemi Nishida 《The Meals》

英国風庭園の佇まいから静かに神戸の街を眺める〜六甲山ガーデンテラス〜

日差しが徐々に傾き始めた頃に六甲山山頂に近い六甲山ガーデンテラスに到着した。
ここからの眺望は日本でも有数。明石海峡から大阪湾沿いに大パノラマが広がっている。
店内から窓を突き抜けて蔦のように絡まり、ねじれながら外に出てゆく作品中川 悠紀 《内と外》
見晴らしの塔の中には六甲山の夜景の光を表現したcircle side《Tracing of a forest 》がある。


中川 悠紀 《内と外》


中川 悠紀 《内と外》

circle side《Tracing of a forest 》

ノスタルジックサンセット〜六甲有馬ロープウェー〜

新たに展示会場に加わった有馬ロープウェー六甲山頂駅。5回目の六甲山でようやく訪れることができた。
六甲山山頂の施設は昭和40年代のリゾートの雰囲気がなんとも良いのだけれど、
この有馬ロープウェー六甲山頂駅も郷愁感たっぷりの建物だ。この周辺にも展示されている。

森を歩いていると、傍らに何かの気配を感じることがある…そんな感覚を、電子技術を使って作品にした、 鳴海健二《六甲おもてなし百景》を有馬ロープウェー六甲山頂駅へ向かう道の途中に展示している。

駅構内には、 鹿田 義彦《タイムスケープ》を展示している。六甲山と有馬温泉の過去と現在の写真を並べて展示してる。そこには、単なる比較ではない、記憶の曖昧性や誤りを意図的に取り込んだ不思議な世界が表現されていた。

夕陽が差し込む営業休止のホームには、 加藤 泉《無題》の胎児とも異星人とも見える異形の生命体が3体展示してある。といったところで、1日目の芸術散歩もそろそろ終わりが近づいて来た。


加藤 泉《無題》


加藤 泉《無題》

鹿田 義彦《タイムスケープ》
撮影:高嶋清俊

鳴海 健二《六甲おもてなし百景》
撮影:高嶋清俊

日本屈指の眺望を前に思わず叫ぶ〜六甲枝垂れ〜

2日目の「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2014」は、六甲山で最も高い位置にある自然体感展望台 六甲枝垂れ(しだれ)からスタート。
晴れ渡る青空と遠く霞む大阪湾を眼下に、思わず叫んでみたくなるような作品が 佐川 好弘《胸の土器土器》

谷口和正《Cosmic Seed》は「桜」と「月」をタイトルに持つ楽曲の歌詞を分解して再構成し、文字を鉄板から一つひとつ切
り出し、再び溶接し立体造形化するという極めて地道な作業で生まれた彫刻。六甲枝垂れの吹き抜けの空間に映し出されるシルエットも美しい。(夕方以降の観賞がおすすめ)

中出 武彦《青い深夜バス》は、制作中に作者は「バスに乗ってどこかへ行きたい、という衝動に駆られた」らしい。(こちらも夕方以降の観賞がおすすめ)


佐川 好弘《胸の土器土器》


谷口 和正《Cosmic Seed》

中出 武彦《青い深夜バス》
撮影:高嶋清俊

鎌田 祥平《Collection # mountain》

開放感あふれる場所で作品も活気に満ている〜六甲山カンツリーハウス〜

六甲枝垂れからリフトに乗って、いよいよ最終目的地のカンツリーハウスに到着。
お昼近くになって、ピクニックに来た家族や友人グループが増えて来て賑やかな声が聞こえてくる。今年もこの芝生の丘を駆け上ろう!

カンツリーハウスにある作品は、この開放感のせいか、活気があって面白い。
石井 琢郎《辺のふるまい》は、石は内部がくり抜かれて、人が中に入ることができる。人が石に入っている姿を初めて見た時は驚いた。

かつてジンギスカンレストランとして営業していた場所を“ブックカフェ”に仕立てている太田 三郎《Rokko Book Cafe 六甲ブックカフェ》は、赤い紐で繋がった羊の切手が印象的。小川 泰輝 《樹木の通り抜け》は、芝生の中央にある大きな松の木にかかるアーチ状の橋。その姿は英国の風景画のように美しかった。

白いケミカルな素材が印象的な富田 紀子《シャングリラ》は、漁網をベースにした外観が心地よい風になびいて輝いていた。
中出 武彦《六甲の赤いケーブルカー》は、ケーブルが繋がっていないから、空に向かって自由に旅することができる。

カンツリーハウスを象徴する小高い丘の上には、鉄、FRPでコーティングされた竹などと共に、劇場舞台の吊物に使われた廃ロープで作られた、風を受けて緩やかに動く作品半谷 学 《NATURE UMBRELLA in Rokko Meets Art 2014》

持田 敦子《ゆかした》は、レストラン アルペンローゼに工事用足場と家具を使って空中に作られた寝室。2013年に彫刻の森美術館でも個展を開催した宇治野 宗輝《OVERDRIVE MOTOR Saloon》は、六甲山を走っていた路線バスを使ったサウンド・スカルプチャー(音響彫刻)。ジンギスカンレストランの窓辺から見つけた上半身のない子供たち鴻池 朋子《インタートラベラー》に衝撃を受け、今回の旅は終わった。


石井 琢郎《辺のふるまい》


太田 三郎《Rokko Book Cafe 六甲ブックカフェ》

小川 泰輝 《樹木の通り抜け》

富田 紀子《シャングリラ》

中出 武彦《六甲の赤いケーブルカー》

半谷 学 《NATURE UMBRELLA in Rokko Meets Art 2014》

持田 敦子《ゆかした》

宇治野 宗輝《OVERDRIVE MOTOR Saloon》
撮影:高嶋清俊

鴻池 朋子《インタートラベラー》