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マルタ・パン 浮かぶ彫刻 3 1969年

木立に囲まれた池を舞台に、大小の朱色のかたちが周囲の景色と響きあっています。ゆるやかなカーブを描く大きな形の中央には穴が開いていますね。小さい形は、そこからくり貫かれたもので、まるで赤ん坊のように母なる大きな形から生まれてきました。小さい方は、風がふくと水の上を滑るように動きます。大きい方から離れたり、近づいたり、まるで池の鯉や自然との対話を楽しんでいるかのようです。大きい方も、時折その場で向きを変えながら様々な表情を見せます。ハンガリーで生まれ、その後パリを拠点に活躍してきたマルタ・パンは、環境芸術の先駆けとして知られる女流彫刻家です。ポリエステル樹脂やステンレスなどの現代的な素材を用いた作品は、作品が置かれる周囲の要素を取り込みながら、おおらかで心地よい自由な空間を生み出しています。