新宮晋 終りのない対話 1978年
オレンジ色に塗った骨組みのうえに、白いキャンヴァスをはったふたつの帆。風の流れを綿密に計算した流線型の形態は、どんな風も逃すことはありません。ふたつの帆は、向きを変えながら時にうなずきあい、時に豪快に舞いながら終わることのない対話を繰り広げます。伊藤隆道より2歳年上の新宮晋もまた、日本における「動く彫刻」を代表する作家です。伊藤が、電気モーターで作品を動かすのに対し、新宮は、風や水の流れなど、自然のリズムをとらえることで、動きを生み出します。風と一体になり、生き生きと動き出すふたつの帆は、目には見えない風のリズムを見る者に伝えます。